シンチレーターが発する光は非常に微弱で、肉眼ではまず見えません。 光検出器は、この微弱な光を検出可能な電気信号に増幅する素子です。
光検出器の種類 #
光を電気信号に変換して増幅する方法には、大きく分けて真空管を使う方式と半導体を使う方式があります。
光電子増倍管(PMT) #
光電子増倍管(Photo Multiplier Tube; PMT)は、光を電気信号に変換して増幅する真空管です。
- 光が入射すると、光電面から電子(光電子)が飛び出します(光電効果)
- その電子が複数の電極(ダイノード)に次々とぶつかり、電子の数が雪崩式に増えます
- 最終的に数百万倍に増幅された電流として取り出されます
高感度で歴史のある技術ですが、高電圧(数百〜数千V)が必要で、大きく壊れやすいという弱点があります。
半導体光検出器(SiPM/MPPC) #
SiPM(Silicon Photomultiplier)は、半導体を使ってPMTと同様の「1粒の光子を検出して増幅する」機能を実現した素子です。 無数の小さなフォトダイオードを並列に並べた構造で、光が当たった部分だけが反応し、その総和として信号強度が得られます。
浜松ホトニクス社が開発したMPPC(Multi-Pixel Photon Counter)はSiPMの代表的な製品です。 小型・低電圧・高感度という特長から、教育用途の検出器にも扱いやすい素子です。
PMTとSiPM/MPPCの比較 #
| PMT | SiPM/MPPC | |
|---|---|---|
| 駆動電圧 | 数百〜数千V | 数十V程度 |
| サイズ | 大きい | 小型(数mm角) |
| 耐久性 | 衝撃に弱い | 頑丈 |
| コスト | 比較的高価 | 比較的安価 |
近年は小型検出器を中心に、PMTからSiPM/MPPCへの置き換えが進んでいます。
宇宙線検出での役割 #
シンチレーターで発生した微弱な光を光検出器で電気信号に変換することで、初めてミューオンの通過を数値データとして記録できます。 信号の強さ(波高)からは、粒子がシンチレーターに落としたエネルギーの目安も得られます。 OSECHIでも、浜松ホトニクス社製のMPPCを光検出器として使用しています。
波高とエネルギーの関係 #
粒子がシンチレーター中を通過する距離が長いほど、また物質中で失うエネルギーが大きいほど、発生する光の量は多くなります。 そのため信号の波高(ピークの高さ)を調べることで、通過した粒子の種類やエネルギーを推定する手がかりが得られます。