宇宙線とは、宇宙空間から地球に降り注ぐ高エネルギーの粒子線のことです。 宇宙線は、地球の大気圏に突入すると、大気中の原子核と衝突し、二次粒子を生み出します。 その中でも、地表まで届く粒子の代表がミューオンです。
ミューオンの性質 # ミューオン(μ粒子)は電子と同じ仲間(レプトン)の素粒子です。
地球に降り注ぐ宇宙線の量は、いつも一定というわけではありません。 その大きな要因のひとつが、太陽の活動です。
太陽風が銀河宇宙線を遮る # 太陽からは常に太陽風(陽子や電子などの荷電粒子の流れ)が吹き出しており、太陽系全体に磁場を運んでいます。 銀河系の外からやってくる宇宙線(銀河宇宙線)は、この磁場によって一部が跳ね返され、太陽系の内側まで届きにくくなります。
シンチレーターは、放射線(荷電粒子やガンマ線)が通過すると、その一部が可視光や紫外光として放出される材料です。 この発光現象をシンチレーションと呼びます。
シンチレーターが発する光は非常に微弱で、肉眼ではまず見えません。 光検出器は、この微弱な光を検出可能な電気信号に増幅する素子です。
光検出器の種類 # 光を電気信号に変換して増幅する方法には、大きく分けて真空管を使う方式と半導体を使う方式があります。
シンチレーターと光検出器を組み合わせても、出てくる信号がすべてミューオンによるものとは限りません。 熱雑音や電気的なノイズも、本物の信号とよく似た形で紛れ込みます。 コインシデンスは、複数の検出層を組み合わせることで、こうしたノイズを取り除き、本当にミューオンが通過したイベントだけを選び出す手法です。
一次宇宙線が大気に飛び込むと、単独の粒子だったものが次々と枝分かれし、無数の二次粒子の集団を作り出します。 この現象を大気シャワー(空気シャワー)と呼びます。 シャワーは地表に到達するころには、地上の広い範囲に同時に降り注ぐ粒子の集団になっています。
ミューオグラフィは、ミューオンの高い透過力を活かして大きな物体の内部構造を透視する技術です。 レントゲン写真が人体をX線で透視するように、ミューオグラフィは建物・火山・ピラミッドなどを「透視」します。
宇宙線研究は、かつては大学や研究機関にある大型の専用設備でなければ取り組めない分野でした。 近年は検出器の小型化・低コスト化が進み、学校や個人でも本物の測定に参加できる市民科学(シチズンサイエンス)としての広がりを見せています。
宇宙線は1912年の発見から100年以上研究されてきましたが、いまだに答えの出ていない謎が残っています。 ここでは、世界中の研究者が今も挑み続けている代表的な未解決問題を紹介します。