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  1. 学習ガイド/

市民科学と宇宙線観測とは

1819 文字·4 分
目次
宇宙線の最前線を知る - この記事は学習ガイドの一部です
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宇宙線研究は、かつては大学や研究機関にある大型の専用設備でなければ取り組めない分野でした。 近年は検出器の小型化・低コスト化が進み、学校や個人でも本物の測定に参加できる市民科学(シチズンサイエンス)としての広がりを見せています。

市民科学とは
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市民科学とは、専門の研究者だけでなく、一般の市民が観測やデータ収集・解析に参加する研究のスタイルです。 天文学の新天体発見や、生物多様性調査での目撃情報収集など、さまざまな分野で成果を上げてきました。

宇宙線研究における市民科学の強みは、広い範囲に多数の検出器を分散して置けることです。 1つの研究機関だけでは設置できない規模の検出器網を、多くの参加者の協力によって実現できます。

海外のプロジェクト
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CRAYFIS
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スマートフォンのカメラセンサーを宇宙線検出器として活用するプロジェクトです。 世界中のユーザーが自分のスマートフォンでアプリを動かすことで、巨大な検出器網を作り出すことを目指しています。

QuarkNet
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アメリカの高校・大学向け教育プログラムで、生徒がミューオン検出器を使って実際の宇宙線データを取得し、解析する取り組みです。 教育とデータ収集を両立させたモデルとして知られています。

Cosmic Watch
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MIT(マサチューセッツ工科大学)が開発した、安価な部品で組み立てられる卓上型のミューオン検出器キットです。 設計図や組み立て方が公開されており、世界中の学校や個人が自分の手でミューオン検出器を作れることを目指しています。 OSECHIと近い理念を持つプロジェクトのひとつです。

CREDO
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世界中の検出器(スマートフォンから専用機器まで)をネットワーク化し、超高エネルギー宇宙線が引き起こす大規模な大気シャワーを協調的に観測しようとする国際プロジェクトです。

日本の活動
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加速キッチン
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中高生の宇宙線・素粒子探究を支援する日本の団体です。 Cosmic Watchなどの検出器を全国の生徒に貸与し、大学生メンターによるオンライン指導のもとで、生徒それぞれが自分のテーマで観測・研究に取り組めるプログラムを運営しています。 世界の宇宙線アウトリーチ団体が連携するGlobal Cosmic Groupに、日本の代表として参加しています。

そらまめ(宙豆)
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神奈川大学が開発した、スマートフォンやタブレットのカメラセンサー(CMOSイメージセンサー)を使って宇宙線を検出するアプリです。 専用の検出器がなくても、手持ちのスマートフォンをそのまま観測装置として使えます。 検出したデータはクラウドに集約され、世界中の利用者の観測結果と比較できるほか、使わなくなった端末を観測専用機として再活用する使い方も提案されています。

雷雲プロジェクト
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京都大学・金沢大学をはじめとする研究機関が進める市民科学プロジェクトです。 小型の放射線モニターを市民サポーターの自宅に設置し、雷雲から地上に降り注ぐガンマ線を多地点で同時観測することで、雷の発生と宇宙線の関係を調べています。 2021年には、金沢市内の複数地点で雷雲由来のガンマ線を同時に検出することに成功しました。

信大コズミックレイ
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信州大学の研究者が中心となって発信している宇宙線の普及・アウトリーチ企画です。 「コズミックレイ(宇宙線)」という言葉自体を広く知ってもらうことを目的に、VR技術を使った体験展示や動画などを通じて、宇宙線研究の面白さを伝える活動を行っています。 観測データの収集そのものよりも、宇宙線という現象への興味を広げる入り口としての役割を担っています。

OSECHIと市民科学
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OSECHIも、こうした国内外の流れに連なるプロジェクトです。 学校や地域のイベントで検出器に触れた人が、そのまま観測データを集める側にもなれるという点で、専門家と市民の垣根を低くすることを目指しています。 測定データや課題設定をオープンにすることで、誰もが宇宙線研究の一端に参加できる場を作ろうとしています。

参考文献
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  • Whiteson, D. et al., “Observing Ultra-High Energy Cosmic Rays with Smartphones.” arXiv:1410.2895(CRAYFIS)
  • Axani, S. N. et al., “The CosmicWatch Desktop Muon Detector: a self-contained, pocket sized particle detector.” arXiv:1801.03029(Cosmic Watch)
  • Homola, P. et al., “Public engagement as a scientific tool to implement multi-messenger strategies with the Cosmic-Ray Extremely Distributed Observatory.” arXiv:1908.09734(CREDO)
  • Takano, W., Udo, S., Shiomi, A. & Hibino, K., “Development of a cosmic ray detector using CMOS sensors embedded in smartphones and Raspberry Pi devices,” Experimental Astronomy. arXiv:2607.02106(そらまめ)
  • Yuasa, T., Wada, Y., Enoto, T. et al., “Thundercloud Project: Exploring high-energy phenomena in thundercloud and lightning,” Progress of Theoretical and Experimental Physics (2020). オープンアクセス版(雷雲プロジェクト)
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