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  1. 学習ガイド/

ミューオンと加速器

1044 文字·3 分
目次
ミューオンの最前線を知る - この記事は学習ガイドの一部です
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加速器で大量に作り出したミューオンビームは、精密測定だけでなく応用研究にも使われています。 なかでも近年とくに注目を集めているのが文化財をミューオンで調査する応用研究で、ミューオン専用の加速器開発も世界各地で現在進行形で進んでいます。

文化財をミューオンで視る
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加速器ミューオンは、考古学・歴史学、そして文化財の保存や修復に関わる研究との連携にも使われています。 マイナスの電荷を持つミューオンを対象物に照射すると、原子核に捕らえられる際に元素ごとに決まった特有のX線(ミューオン特性X線)を放出します。 このX線を測定すれば、表面近くしか調べられない従来のX線分析とは異なり、対象物を傷つけずに内部深くの元素分布まで調べられます。

金属製の仏像や刀剣など、破壊検査が難しい歴史的な遺物の分析にミューオンビームが使われ始めています。 日本国内でもJ-PARCに文化財向けのミューオンX線測定システムが整備されつつあり、江戸時代の考古資料の分析事例も報告されています。 物理学者と考古学者・歴史学者、文化財の保存や修復に関わる専門家が共同で進める、学際的な研究分野として盛り上がりを見せています。

ミューオンを自在に加速する
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ミューオンの加速は、電子や陽子の加速に比べてはるかに難しい課題です。 ミューオンは電子よりずっと重く陽子よりは軽い質量を持つため、電子用・陽子用いずれの既存の加速器もそのまま流用できません。 さらに平均寿命が約2.2マイクロ秒しかなく、生成から加速までをこのわずかな時間内に終える必要があるという制限も加わります。

2024年、J-PARCの研究グループはミューオン専用の線形加速器を新たに開発し、この課題を世界で初めて突破しました。 専用加速器によって、方向や速度のそろった高品質なミューオンビームを安定して作り出せるようになれば、ミューオンの新物理探索をより高い精度で進められるだけでなく、非破壊検査への応用にもさらに弾みがつきます。

こうした専用加速器の開発は世界各地で進んでおり、その先にはミューオンコライダーの実現も見据えられています。 これは電子よりずっと重いミューオン同士を正面衝突させ、既存のコライダーよりコンパクトな装置でより高いエネルギーの衝突を実現しようという次世代加速器です。

参考文献
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  • Otani, M., “First muon acceleration and muon linear accelerator for measuring the muon anomalous magnetic moment and electric dipole moment,” Progress of Theoretical and Experimental Physics 2022, 052C01 (2022). https://doi.org/10.1093/ptep/ptac067
  • 「世界初、素粒子ミューオンの冷却・加速に成功」J-PARCプレスリリース (2024). j-parc.jp
  • Chiu, I.-H. et al., “Nondestructive 3D elemental imaging of Edo’s archaeological artifacts via muonic X-ray measurements,” npj Heritage Science 13, 154 (2025). https://doi.org/10.1038/s40494-025-01741-8
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